ごあいさつ

「いしばし病院」は、2018年に創立88周年を迎えました。これも地域の皆様のおかげです。心から感謝を申し上げます。1930年に当院の前身「壽生堂(じゅせいどう)」が開設され、夜間診療を行っていました。1934年に「石橋病院」に改称されましたが、当時は今のような皆保険制度が無いため、治療を受けられない人も多く、無償診療も行っていたとの事です。その後も地域の皆様の要望に沿った医療サービスを提供して参りました。私達の病院理念は「地域から寄せられた信頼と伝統を大切に、安らぎと社会復帰を志向する場を提供する」ことです。

最近の特徴(増加している疾患)
1.心療内科の充実(ストレス緩和病棟)

家庭・学校や職場等の仕組みが複雑になり、様々なストレスがかかり、「こころ」や「からだ」の調子を崩す人が多くなりました。ストレス緩和病棟では、日常生活でのストレス対策技術の向上、社会(交)不安症やうつ病治療、摂食障害のカウンセリング「周囲の人とうまく付き合えない、話せない」等の悩みで短期間でも「こころ」や「からだ」を休めたいと思う方々を対象に、明るく、清潔な病棟を準備しています。入院期間は短く、1人部屋から4人部屋まであり、身体一般科と同様に外出自由な開放的病棟です。

2.依存症・使用障害の多様化
当院は、北海道から「依存症治療病院」と認定されています。

a.アルコール使用障害の考え方も広まり、全国に500万人以上(依存症者109万人)いるといわれています。当院は1972年(昭和47年)からアルコール依存症の専門治療を行っています。以前より断酒治療を目的としたアルコール専門病棟を有し、札幌だけでなく、全道から患者様が入院治療を受けにみえています。また、最近は、専門外来での節酒治療を行っています。

治療プログラムは「ミネソタモデル」と「マトリックスモデル」を合わせ「地域性」を加味して作った認知行動療法のi-map(いしばし式マルチアディクションプログラム)というハンドブックです。「酒を止める」だけでなく、「人としての成長」「社会生活力の向上」等の多様な治療目標を達成する教本です。「自慢」ですが、北海道で一番密度の濃い、充実したプログラムと考えています。依存症は再発しやすいため、退院後には「デイケア」「訪問看護」も受ける事が可能で「再発予防」に効果的と考えています。

b.その他の依存症では、物質依存(アルコール・薬物等)、プロセス依存(ギャンブル・買い物・インターネット・ゲーム等)、対人関係依存(共依存·AC問題·DV等)の相談が増加しています。当院では、多様な障害・依存に対応できる治療プログラム(i-map、認知行動療法)を作り、研修を受けたベテラン職員による専門的な治療・カウンセリングを行っています。また、断酒会·AA·疾患別の自助グループの育成ネットワークも充実しています。

3.認知症相談の増加
当科は、小樽市立病院や市内の医療機関と連携し、認知症者の入院治療を積極的に受け入れています。認知症の原因は多様ですし、精神症状は服薬だけでは十分に対応できません。介護疲れや介護のため自分の生活を犠牲にしないために相談される人が増加しています。経験豊富な医師・看護者・作業療法士・心理士等による精神療法・生活力向上や、作業療法による病状の改善・悪化予防に努めています。

4.心の健康相談・カウンセリングを希望される方の増加
社会的ひきこもり、不登校・家庭内問題等の子供さんの件で相談にみえる方も増加しています。当院には精神科医師8名、ケースワーカー4名、心理士2名が常勤でおります。個別に相談をお受けする事も可能です。

これからも、地域の皆様のための医療を行うと共に「こころの健康やストレスと上手に付き合う生活の方法」等の情報・講演会を提供していきたいと思っています。どうぞ、お気軽にケースワーカーまでご相談ください。